大学入学英語成績提供システム導入の延期について
「大学入学共通テスト」に伴って導入されることになっていた英語民間試験。共通ID申請が始まるはずだった11月1日早朝、メディアが「延期」を伝えた。そして午前、文部科学大臣の記者会見。GTECに関する「準備・検討状況のご報告」が前日(10月31日)に発表されたばかりだったことを鑑みても、事態は急に動いたと見るのが自然だろう。シンポジウム等に参加して、制度の抱える問題の大きさを感じていただけに、今回の決定には(判断が遅かったとは思うが)ひとまず安堵している。
今日の段階では、国語の記述式問題を導入するという方針については変わっていないようだ。別記事でも述べたように、50万人が受けるテストで、公平性を担保しながら、思考力まで測ることのできる(しかも学力差を適切に弁別できる)問題を作成するのは至難だと考えている。先日国語の仲間と話していて、「共通テストの記述問題は記述の一形態に過ぎないですよね」と言われて、なるほどと思った。授業やテストで扱う記述問はもっとバラエティに富んでいるし、もっと深い思考力を求めうるものもある。だから、「一形態に過ぎない」ということをどこかで意識しておいて、必要に応じて適宜扱う、というのが現状としては良いのかもしれない。とまれ、文科省や大学などの動きを引き続き注視したい。