高校生にできること②(2018年9月、文化祭で朝倉応援の炭火焼)
2017年7月、九州北部豪雨が発生、福岡県南部の朝倉一帯も甚大な被害が出て、新聞部生徒をつれてボランティアや取材に断続的に赴いた。その様子を紙面で紹介したり、授業で話したりを続けていた。
ところで、勤務校の文化祭は、高校3年生が大々的に模擬店を開き、食品を調理して売るというのが1つの特徴だ。企画が動き出したとき、担任クラスで「朝倉から食材を仕入れて調理しよう」ということになった。
まず視野に入れたのが「万能ねぎ」。飛行機で空輸されるほど有名な特産品だ。ただ、ねぎと何を組み合わせるか。情報収集していると、家庭科の教員から「古処鶏というブランド肉があるのでは」と教えてもらう。新聞部の取材で知り合ったJAの方に仲介してもらい、その店に交渉にでかけた。分かったのは、高校生が模擬店で安直に売るような代物ではないということ。つまり、「超」のつくブランド品だった。なんとか頼み込み、食中毒管理について丁寧なレクチャーまでしてもらって、紆余曲折の末、炭火焼の実現にこぎ着けた。
原価が安くないから利潤はそんなに出ない。若い人たちは考えて、「情報を発信しよう」ということになった。朝倉の現状をパネルにしたり、のぼりを立てたりして来客の目を引くようにした。災害は時間がたてば忘れられてしまいがちなものだ。知ってもらうことにも意味がある、生徒達はそう考えたのだ。
当日の盛況。そして私たちの活動の噂が広まり、その後開かれた生徒会の会議で、学年の収益金を朝倉市に寄付すると決まった。2019年2月22日、60万円程度を朝倉市長に直接届けた。高校生にできることってどんなことなのか、それがまた1つ形になって、無上の喜びだった。
実はその年度には、朝倉関係でもう一つ嬉しいことがあった。JA筑前あさくらから連絡が入り、JAのイベントで勤務校の吹奏楽部に演奏してほしいという依頼を受けたのだ。吹奏楽部の顧問に伝えると快諾。2019年2月3日。ピーポート甘木で熱演は繰り広げられた。……アンコールで、若い人たちが歌ってくれた「涙をこえて」が忘れられない。人目もはばからず、会場で号泣したことをここに告白しておく。
※高校生にできること①の記事はこちら。