刻まれたリズム

11月3日。体が疼く。なぜだと首を撚るが、程なく、ああ、そうかと気づく。そう、高校バスケットボールの公式戦が行われる時期なのだ。公立高校勤務時代は、県大会の出場権をかけて生徒とともに熱くなっていたし、私立に身を転じてからも、新聞部の取材と称して、全国大会の切符がかかった大一番を追っかけたりしていた……体は、覚えている。

10月、高校新聞にとっては繁忙期。なぜなら、10月末が「年間紙面審査賞(=1年間に発行した新聞すべてが審査対象となるもの)」の締め切りで、「消印」を間に合わせるために、「あと1号」の発行に勤しむ季節だからだ。今年度は「第4顧問」に過ぎない私、出過ぎたマネはしてはいけなかったのだが、体内に刻まれた譜面が呼び起こされ、一度リズムを奏で始めたら、止まらない。急にギアチェンジをした顧問に、若い人たちはさぞかし困惑したことだろう。めでたく10月内に最新号を発行、膨らんだレターパックが、学内にある赤いポストに投函された。


国語でも、再び為事が舞い込み始めた。先日は某市で小学6年生を相手に「国語の現在地」について語る幸甚を得た。いつも通り踊るような授業を展開する私。ただ、これまでの為事で得た知見を30分の中に凝縮したつもりである。何か、相手に届いたものがあれば……そして学内でも、自分の思うところを申し述べる機会が少しずつ出てきた。思ったとおりにやろうと思う。今さら評価を気にしても、ね…「インプット」と「脳内データベース」を往還する日々を過ごせる程には、私は恢復してきているようだ。気がつくと、週末ごとに一冊ずつ、小説を読破した秋となった。


リズム。体内に流れる通奏低音は、私の歴史でもある。その音に唆された私は、調子外れの歌を今日も、歌い続けるのである。

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