現代文 論理的文章を読み解く力をつける(読書案内)

私の「授業のネタ本」も含め、現代文の読解力をつけるのに好適と思われる本を5冊、紹介します。

①『小論文を学ぶ 知の構築のために』(長尾 達也、2001、山川出版社)

私が国語教師になってからずっと拠り所として手元に置いてきた本。「小論文」と銘打たれているが、論理的文章を読み解く際の思考のフレームを手に入れるのに最適な一冊。近代的な思考、ポストモダン的思考それぞれを理解するためのキーワードを紹介し、後者の思考こそがこれからの世界に必要だと説く。

 

②『教養としての大学受験英語』(石原千秋、2006、ちくま新書)

著者は早稲田大学教育学部教授、夏目漱石研究の第一人者。大学入試問題にも精通しており、本書では実際の入試問題を例示しながら、現代思想の各分野についてバランスよく紹介している。

 

③『現代思想入門』(千葉雅也、2022、講談社現代新書)

ジャック・デリダ、ジル・ドゥルーズ、ミシェル・フーコーを中心に、ポスト構造主義についてわかりやすく解説する入門書。構造主義やポスト構造主義に関する文章は教科書や入試でよく見かける。本書は丁寧な筆致で書かれているので、哲学や現代思想に疎い人でも読み通すことができると思う。

 

④『高校生のための評論文キーワード100』(中山元、2005、ちくま新書)

「アイロニー」「演繹/帰納」「逆説(パラドックス)」「象徴」といった評論特有の語を100語、各々2ページずつで解説している。その語が使われてきた背景まで触れられているので、語彙を深く理解して運用する力が身に付く。

 

⑤『世界のいまを知り未来をつくる評論文読書案内』(小池陽慈、2022、晶文社)

河合塾の有名講師がしたためた本。「表象」という(人によっては聞き慣れない)語に焦点を当てることから始まっていて度肝を抜かれるかもしれないが、「おわりに」まで読むと、己の信じる位置から筆者は世界を捉え、縦横無尽に論じているのだということに思い至る。筆致は柔らかいが、妥協のない一冊。

早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)

(おまけ)『大人のための学習マンガ それゆけ!論理さん』(仲島ひとみ著、野矢茂樹監修、2018、筑摩書房)

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