高校生にできること①(2013年8月、宮城県南三陸町/モアイバッジ)

南三陸町志津川高校の生徒が作成した
「モアイバッジ」

2012年以降、夏休みには新聞部の生徒たちと東北取材をすることが通例となった。最初の年は、3人の若い人たちと石巻・相馬に赴いた。福岡に帰った後、見たものの衝撃の大きさからか、若い人たちはなかなかペンを進めることができなかったが、最終的には6頁にわたる特集を仕上げた。

「では、私たち高校生に何ができるか?」部員たちからしばしば聞く台詞である。「忘れないでいること」だけでも十分なのだが、それだけでは気持ちの収まりがつかないのだろう、若い人たちの煩悶する様子を見てどうしたものかと思案していたある日、福岡の公園で行われていたバザーの商品の中に、モアイバッジを見つけたのだ(上の写真参照)。聞くに、宮城県南三陸町の志津川高校の生徒が、津波で流された町民バスをもう一度走らせたいと考え、その資金集めにバッジを作って販売しているのだという。大が150円、小が100円。……これならいける。そう思った私は、2013年8月、生徒とともに志津川高校を訪問した。

「私たちの学校は生徒2000人を抱える大規模校です。9月の文化祭でモアイバッジを扱わせてもらえないでしょうか。少しお力になれるかもしれません」……志津川高校の生徒、先生は、私たちの申し出を快く了解してくださった。福岡に帰り、詳細な作戦を練る。一つの部活だけでやっても規模が限られてくる。当時、同窓会で復興支援プロジェクトを熱心に行っていた方に相談し、協力を取り付けた。1年生のあるクラスは校内各所で声を上げてくれた。2日間で1000個のバッジが売れた。集まった善意は16万2千円だった。

その後、SNSなどで「南三陸モアイ化計画」をのぞいてはいたのだが、進展の度合いをなかなかうかがい知ることができなかった。……2015年8月、「また東北に」と若い人たちに誘われて宮城・志津川高校を再訪した私は、バスを走らせる目処がついたと知る。そして2016年12月、ついに「モアイバス」は南三陸町に寄贈されたのだった。

志津川高校HP  https://sizugawa-hs.myswan.ed.jp/moai

 

チリから南三陸町に贈られたモアイ像
(両者はかねてより交流があった)

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