565文字のエッセイ(ファイナル)
勤務校の広報紙のエッセイ欄を9年間にわたって担当した。先に別記事でアップした24回目の565文字は、コロナの影響でお蔵入りとなった。都合25回目、今回で最後となる。春に、新しくこの場所にやってくるであろう若い人たちに向けてしたためてみた。
ようこそ大濠へ。多様な個性集うこの地で、思う存分、翼を広げてください。あなたが望んだ分だけ応えてくれる学校です▼私は、二〇一二年にここに来ました。前年に起こった大震災、私の心は焦っていました…困難に満ちた時代に、自主自律の精神で立ち向かっていこうとする、そんな生徒たちと関わってみたい、そう思って大濠に来たのです。奇しくも新聞部顧問を拝命、学校の理解の下、毎夏のように東北取材に赴きました。残念なことに、その後各地で災害が起こりました。都度取材をし、高校生にできることは何なのか、若い人たちと一緒に考えてきました▼コロナ禍の中、「震災十年」の節目が来ました。この機に、新聞部は陸前高田市長の鳥羽太さんに四度目の取材をZoomで敢行しました。取材の最後に、私は鳥羽さんから叱咤激励されました。「震災の記憶がない世代が高校生になる時が近づいている。今後もどこかで災害は起こるだろう。教育者として、語り継ぐべきは語り継いでほしい」。動き続けてきたためか、少し疲れて弱気になっていた私は、心の中を見透かされたようで、どきっとしました。そして、もう一度奮起しよう、そう思いました▼それぞれの「道」を本気になって追い求めることのできる学校、そして、変化し続けることのできる学校。若い人たちにとって、大濠がそういう場所であることを祈っています。(Z)