大学入学共通テスト考究 第1回プレ大問5(漢文、太公望をめぐって)
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問1 語の読みに関する問い。従来のセンター試験でも、問1では読みの問題やいわゆる「熟語問題」のような語彙に関する問いが出題されていた。共通テストというと、思考力を問う問題ばかりに焦点が当たりがちだが、一方で、基本的な知識を習得しているかも測るとされている。決しておろそかにしてはいけない。
問2 語の意味に関する問い。問1と同じく知識問。(イ)の再読文字「当」だが、通常、訳としては「当然~すべきだ」を用いる。が、それが選択肢にない(プレテスト実施時の正答率も低かったと記憶している)。ない、となった時に、文脈も考慮して比較的穏当そうな「きっと~だろう」をなんとか選べたら良いのだが。ちなみに、「大漢和辞典」を確認したところ、「当(まさに~べし)」の説明として「断定の意を表す辞」の次に「推測の意を表す辞」と載っていた。推量的な意味も持っているということか(白川静氏の「字通」では推量っぽい意味は見当たらない)。いずれにせよ、受験生は困ったことだろう。
問3 返り点及び書き下し文を選ぶ問題。問2に引き続いて再読文字「将」が問われている。同様の問題として、1996年のセンター試験に「須」、2005年に「当」が出題された際には、再読文字の1回めの読み・2回めの読みを正確に覚えていれば選択肢を2つにまで絞れる作りになっていた。今回は「まさに~んとす」を覚えていれば一発。共通テストでも、知識はアドバンテージを生む。
問4 傍線部前後の文脈も考慮しながら、傍線部の解釈を押さえる問題。
問5 漢詩に関する問い。この問いの各選択肢は漢詩の知識に関することに集中している(問7とのカブリを避けるにはそうせざるをえなかったのだろう)。「複数テキスト」を極力出すとする共通テストの方針を鑑みた時、漢詩の出題というのは十分可能性がある。事前の学習の段階で、手元にある教科書に載っている漢詩ぐらいは眺めて、どんな趣旨なのかを思い浮かべるといった学習も有効だろう。勿論、漢詩にまつわる知識事項(詩の形式・押韻・対句など)も習得しておきたい。なお、この問いのような「すべて選べ」という聞き方は、次の第2回プレでは消失していた。私見を述べるならば、国語の選択肢というのは、どれかが絶対的に正しい/間違っているという性質のものではない。従って、特に内容問においては「すべて選べ」という形式は妥当ではない。
問6 複数テキストの問題のつもりだろうが、実質【文章Ⅰ】の内容合致問題となっている。
問7 問6と同じような感想を抱く。すなわち、複数テキストの問題のつもりだろうが、実質【文章Ⅱ】の内容合致問題。ただし、問6を眺めたあとに問7と解くことで、両テキストの相違点を理解することに繋がる問いではある。この、2つのテキスト間の共通点・相違点を問う問題というのは、出題パターンの一つとなるだろう。