一つの企画を形にするには 2020ver.(オンライン県大会)

先日、高文連新聞部門の県大会を無事、開催することができた。オンラインで。

集うはずだった若松地区・若戸大橋

春先より、今年の運営はどうしたら良いのか、頭を抱えていた。例年、ある場所に生徒と顧問が集まって地域取材を行い、班ごとに数時間で新聞を作成する、ということをやってきた。しかし、コロナ禍に本部から示された開催基準は厳しかった。8月末までに方向性を決めなければならないという中で、学校を超えての交流は難しいと私は考えた。一方、オンラインではできることが限られるのではないかという意見を持つ専門委員もいた。さて。

私は各校にアンケートを取ることにした。すると、例年通りの形式でも参加すると答えた学校は6校にとどまった一方、オンラインならば10校が参加と答えた(福岡県の新聞部門は小規模部門で、例年12~13校の参加)。結果を示してオンライン開催を決め、実施要項を送付した。

ところで、私はデジタルが得意ではない。本当に苦手で、この領域の案件に出くわすと、いつだってともだちの力を借り続けてきた。でも、今回こそは自分でやらなければいけない。オンラインで私にファシリテーターが務められるのか……実は春先より、自校の新聞部員向けのオンライン講習会を何度か企画・実施していた。講師を務めてくれたのはかつての新聞部員、つまり卒業生だ。緊急事態宣言に伴う休校明け、部活動の再スタートにはエネルギーが相当にいるというタイミングで、大学でも新聞づくりに携わり続けた大先輩が力を貸してくれた。そして夏休みは、卒業したばかりの年の近い先輩たちが、親身になって教えてくれた。この、夏の講習会の中でトライしたのが、Zoomの「ブレークアウトルーム機能」。参加者をグループに分けて別々の部屋に移動してもらい、テーマを設けて少人数で話し合ってもらう。少人数ならば発言しやすい状況が生まれて有益な時間になるのではないか、そう考えた。Zoomの本も、夏には読みやすいものが出回り始めたので、西通りに移転したばかりのジュンク堂書店で買い求めて研究した。画面の「共有」機能も覚えた。ブレークアウトルームから帰ってきた生徒たちに「ぴえん」を見せて笑いを誘ったりもした。あれこれを試す私の眼差しは、秋を見据えていた。


たった2時間の県大会(当日の参加は顧問も含めて13校)。対面でないから、内容には自ずと限界がある。ただ、何ができるのかを半年前から考えて、周りの先生方や生徒たちの意見を調整して、そしてイメージを徐々に膨らませて、なんとか実現へと漕ぎ着けたのは、私にとっても大きな自信となった。大会終了を告げた時、各校の生徒たちがミュートを外して、「ありがとうございました」と言ってくれた。私は、涙が止まらなかった。

あなたはいなかったけど、つたなかったけど、できるだけを差し出した、よ。

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