大学入学共通テスト考究 第1回プレ大問4(古文、源氏物語の異本を利用して)

★問題・解答は大学入試センターのHPから見てください。

問1 反実仮想の「まし」の知識の上に、文脈を理解できるか、各選択肢の形容詞の意味を知っているか、といった総合的な力を測る問い。(注)を見ることも解答のためには必須となっている。

問2 和歌についての問いだが、各選択肢は修辞技法について説明したもの、文法的な説明に関するもの、和歌の内容に関するものと多岐にわたっている。問1同様、古典に関する知識、さらに内容理解の力が求められる。(注)への目配りがこの問いでも必要。「幻」とは何なのか、いたずらに迷うことは避けたい。

 なお、第2回のプレテストでも和歌に関する(複数テキストの)出題がなされた。和歌の出題はセンター試験でも頻出だったが、共通テストでも出題されることが多いと予想される。高校生からしたら、和歌は難しいと敬遠したくなるだろうが、様々な和歌と出会ううちに、いつしか理解できるようになるものだ。高校在学中に和歌を含む文章に数多くあたり、さらりと流すのではなく、一つ一つの和歌と向き合って味わう/理解するよう心がけることが大切だ。

問3 解釈の問題。傍線部に始まる藤原俊成の発言全体から傍線部の内容を推測すればよい。「いかで~べき」がここでは反語だと気づくことも必須。ちなみに、今回の選択肢は、反語の返しの部分だけで作られている。

問4 正解は⑤だそうだが、②の可能性はないのか。ともあれ、この問4と問6は、【文章1】から【文章3】をリンクさせて考えることを求める複数テキストの問いとなっている。

問5 「女郎花」や「撫子」が古文で登場した時に喚起されるイメージを知っていないと正解に至らない。ここでも、高校時代に古典に親しんできたかが測られる。選択肢①の「けむ」だが、過去推量の「推量」という部分が、語り手からすれば遠い国・時代にある楊貴妃について「推測」するしかないという点で、桐壷の描写と対比されるというのだろうか。

問6 共通テストが「売り」にしている、複数テキストの問題。【文章1】と【文章2】とでは、「未央の柳」という表現が有る/無いという違いがある。それを踏まえた上で、【文章3】の内容を理解して選択肢の正誤を確かめる問いとなっている。古文において、異本の表記の差に着目した問いは、今後増加の一途をたどるだろうと予想される。


全体を通して、難易度の高い問いがずらりとそろっている。あくまで調査のための「試行テスト」なので、本番がこのままの難易度でいくとは思わないが、思考力・判断力を測ろうという出題であることは間違いないから、センター試験よりも易化するとは考えにくい。まずもって、覚えておくべき知識事項を身に付けないまま受験に臨んだら、とんでもない結果を招くだろう。さらに、その知識事項を生かして深い内容理解を促す問いも当然出題されると予想される。勤務校では、日頃の授業、あるいは考査で複数テキストを用いた問いをなるべく提示するようにしているので、若い人たちにはその度ごとにしっかり頭を働かせて、思考力を磨いてほしい。

宇治川沿いに鎮座する紫式部

 

 

 

 

 

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