大学入学共通テスト考究 第2回プレ大問2(論理的?実用的?)についての覚書

★問題・解答は大学入試センターのHPから見てください。

第1回プレ 大問2についての記事はこちら。‎

問1 従来のセンター試験同様、漢字の書きに関する問いが5つ。

問2~問6の問いの並びについて 一言で言うと、不親切。並びにしたがって解いていくうちにテキストの理解が深まる、というのが良問群だと思うが、私自身が解いてみて、問6→問2→問4→問3という順番になった(問5は別系統、後述します)。調査的な性質を有するプレテストだからかもしれないが、これではいたずらに解く側を混乱させる。本番はこんなことがないと信じたい。

問2 「【資料2】を踏まえて」という聞き方だが、解く際は【文章】の傍線部直前が一番のヒントとなる(だから「【資料2】も踏まえつつ」と問う方がベターではないか)。ともあれ、複数テキストを用いた問いと言える。傍線部では、作品の「エッセンス」とは作品が「載せられた実態」から「剥がされた記号列」だと述べている。その「剥がされた記号列」の具体例を選択肢から選ぶ。従来からよく問われていた「どういうことか」問題を発展させたような、一般と具体とを行き来させる問い。部分問ではある。

問3 全体問。この問3が【文章】全体の内容を押さえる中心的な問いとなっている。別記事でも何度か述べてきたが、共通テストでは問いを解く際の参照範囲が従来よりも広がると予想される(もちろん、問2のように狭い範囲で解ける問いもあるだろうが)。この問3は少なくとも7段落以降、最後までを読んだ上でないと解けない。だから、もっと設問群の最後らへんに設定してほしい問いだ、受験生は困惑してしまう。ただ、偽選択は間違いがはっきりとしており、選ぶことは可能。

問4 2つの表の性質を比較して評価する、複数テキストを用いた問い。④が正解のようだが、①も×とは言えないのではないか。敢えて傷を挙げるならば「表2では、~定義をより明確にしている」の「定義」だろうが、表1内で用いられている言葉が(表1のキャプションにあるように)「定義」にあたるならば、表2内で用いられている言葉も「定義」となるのではないか。プレの際の正答率も30%台と低かったようだ。

問5 本文の表現に関する問い。まず述べなければならないのは、この形式の問いは従来のセンター試験でも評論の最終小問として頻繁に出題されていたということだ。PISAで言うところの「形式の熟考・評価」にあたり、思考力を要求されるので、共通テストになっても出題される可能性は高い。もう一つ、私はセンター試験の評論を解き始める時に、真っ先にこの問いが出題されていないかを確認していた。その理由は、時間短縮のためだ。出題されていた場合は、文章を前から読み進めていく中で、各選択肢が言及している箇所(①だったら第1段落・第3段落)に到達した段階で、逐一その選択肢を吟味して〇×を決定していく。そうしないと、後から本文すべてを読み返すことになり、膨大な時間を浪費してしまうことになる。共通テストの国語はこれまで以上に解く時間が逼迫することが予想されるので、できる工夫は行っておきたい。 ……で、ようやくこの問5についてだが、①を選ばせたい(つまり「適当でないもの」)ようだが、私は⑤も選ぶ人がいるのではないかと思う(プレの際の正答率は17.1%だそうだ。5択の問題で20%を割るのは良い問題とは到底言えない)。①は「強調」「主張に注釈」がおかしいのは確か。⑤の中では本文の4か所が言及されているが、その4か所のどれが「著作権法の及ばない領域を明らかに」していて、どれが「現実的な運用の複雑さ」を示唆しているのか、それこそ言葉の並びが「複雑」でわかりにくい。

問6 2つの【資料】を比較・統合させて答える、複数テキストを用いた問い。②④⑥を選べはするが、この3つについて、条件として「かつ」なのか「または」なのかが分かるような【資料1】であった方がベターだったと思う。  

職場の桜 来年は若い人たちと見上げたい

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