大学入学共通テスト考究 第1回プレ大問2(論理的?実用的?)についての覚書

★問題・解答は大学入試センターのHPから見てください。

★第2回プレ 大問2についての記事はこちら

問1 1つ目。「文章全体の内容に照らした場合」とある。従来のセンター試験では、全体問となっているのは、多くの場合問5・問6あたりだけなのだが、問1からいきなりだと解く側はきつい。いわゆる「参照範囲」が広い問いというのは数年前から(国立2次問題でも)散見されていたが、今後一層そういう問題が増えると思っていたほうが良い(ただ、プレテストはあくまで「調査」だから、80分という試験時間を考えたときに、本番で問1から全体問が来る可能性はそんなに高くはないと思う、そんなことしたら時間が足りない)。とまれ、本文の大事なところに線を引いていき、いざ解く際にそこに目がいくようにしておく。そうしないと、いくら時間があっても足りない(この文章は二項対立がはっきりしているので、線の引き分けも有効。私だったら、例えば「路地空間」に関する箇所は波線、「近代道路空間」に関するところは直線を横に引くという作戦を取る。ここでしっかりと引いておけば、問4が楽になる。)。2つ目。Bが紛らわしい(プレ実施時も正答率が低かったようだ)。①か④かで迷うが、Bの「広域」という語から考えたら①が求められる答えだということか。ちなみに、Aも「縁」に着目すると正答②の「コミュニティ」にたどり着きやすい。従来のセンター試験の小説の、問1で設定されていた語句問題で、辞書的意味を優先させて正答を定めるという法則と合致する。3点目。表やグラフ(いわゆる「非連続テキスト」)を交えた出題は間違いなく増える。これも複数テキストの一つだと言える。

 

問2 部分問。文章後段の第3形式段落(41~49行目)の内容だけで解ける。ただし、図2の「パッケージ空間」と本文との説明がどう照応するのか、読みづらい。

問3 部分問。問2と同様、図と本文の内容とを見比べながら考えていくことになる(いわゆる「統合・解釈」の問い)。ただし、やはり図3の位置づけが難しい。図5のキャプションに「カーブ」とあり、それとの対比で「直線」的な道路を図3は写していると押さえることが必要。また、写っている建物も「高層」と呼べるほど高くはないので、眺望に言及している選択肢④は選べない。

問4 全体問。問1と向き合う際に(上述の通り)本文に線を引いていれば解きやすい。

問5 本文の内容から実際の生活場面への転移を図る問い(こういうのが「実用的」ということか?)。「緊急時や災害時」に関する既有知識(この問いに関してはやや大げさな言い方になるが)まで発動させて解くことを求める。と言うと、共通テストって大変だ、という印象を持つだろうか。ただ、少し考えてみてほしいのだが、「緊急時や災害時」という言葉から何かイメージせよ、といったときに、万人のイメージが100%一致するわけではない。だとすると、問いとして成立させるためには、誤答選択肢に従来よりもはっきりとキズをつける必要が出てくる。従って、難易度が必ずしも高くなるわけではないので、忌避感を持つ必要はない。それよりも、今申し上げた「これぐらい外れたら誤答になる」というセンサーの設定具合が、「センター試験」とは少し変わってくると意識しておくことが大事だ。

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