「さらばチンプン漢文」巻末例文集 解答

先に別記事でアップした漢文のオリジナル教材「さらば チンプン漢文」(←クリックすれば冊子全部をダウンロードできるページに飛びます)の巻末には、さまざまな入試問題からかき集めた(所謂「句形」を含む)例文を白文で載せている。今回は、この例文の訓点の付し方、書き下し、現代語訳を示すことにする。まずは「さらば チンプン漢文」に自分で当たって解答を試み、その上で、答え合わせを行ってほしい。

各例文の訓点

tinpunans1 ←①番から⑭番の訓点(リンク)

tinpunans2 ←⑮番から㉘番の訓点(リンク)

各例文の書き下し、および現代語訳

①予[われ]汝と偕に死す。/私はあなたと共に死ぬ。

②安くんぞ人の駒を取る者有らんや。/どうして人の馬を盗む者がいようか、いや、いない。

③烏[いづ]くんぞ貧しからざるを得んや。/どうして貧しくなくていられようか、いや、いられない。

④何の故に受けざる。/どういう理由で引き受けないのか。

⑤吾が民を如何[いかん]せん。/私の民をどうしようか、いや、どうしようもない。

⑥我が子豈に先帝の子と比ぶるを得んや。/私の子はどうして先帝の子と比べることができようか、いや、できない。

⑦亦た悖らずや。/なんと道理に反することではないか。

⑧聖賢より之を観れば、何ぞ其れ浅きや。/聖人や賢人からこれを見ると、なんと浅薄なことではないか。

⑨古人云ふ、死生は亦た大なり。豈に痛ましからずや。/古人が言うには、生死もまた大きなことだ。なんと痛ましいことではないか。

⑩将に礼を老子に問はんとす。/礼について老子に尋ねようとする。

⑪蝉将に去らんとするも未だ飛ばず。/蝉は今にも去ろうとするが、まだ飛ばない。

⑫会[かなら]ず須らく此の田舎の翁を殺すべし。/ぜひともこの田舎の翁を殺す必要がある。

⑬汝宜しく速やかに出づべし。若し時に出でずんば、当に汝が命を断つべし。/お前はすぐに出ていくのがよい。もし適切な時に出ていかないのならば、当然お前の命を絶つべきた。

⑭仁の不仁に勝るや、猶ほ水の火に勝るがごとし。/仁が不仁に勝るのは、ちょうど水が火に勝るようなものだ。

⑮桓公人をして其の故を問はしむ。/桓公は人にその理由を尋ねさせた。

⑯人をして虫を取り酒中に置かしむ。/人に虫を取らせ、酒の中に置かせた。

⑰但だ子孫をして怠惰ならしむるのみ。/ただ子孫を怠惰にさせるだけだ。

⑱色を変じ席を離れざる無し。/顔色を変えて席を離れないものはいなかった。

⑲復た爾[なんぢ]に与へず。/二度とはお前に与えない。

⑳先生復た独り拝まず。/先生は今度もまた一人だけ拝まない。

㉑父兄常には依るべからず、郷国常には保つべからず。/父兄はいつも頼れるとは限らず、ふるさとはいつも保てるとは限らない。

㉒寧ろ此を為すとも彼を為すこと勿かれ。/いっそこれをしたとしても、あれをしてはいけない。

㉓其れ小国に処るに如かず。/小国にいるのに及ぶことはない。

㉔季子は周公より(も)富めり。/季子は周公よりも富んでいる。

㉕身に痛み無く心に憂へ無きに若くは莫し。/身体に痛みがなく心に心配がないのに及ぶことはない。

㉖今而[なんぢ]択ばる。敢へて罪を請はざらんや。/今お前は選ばれたのだ。どうして罰することを求めないのか、いや、求めるべきだ。

㉗鼠の齧る所と為る。/ねずみにかじられた。

㉘惟だに罪無きのみにあらず、乃ち賞有り。/ただ罰がないだけではなく、なんとまあ賞を与える。

見返りの滝(佐賀県唐津市)

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