大学入学共通テスト考究 第2回プレ大問3(文学的文章、詩とエッセイの複数テキスト)
★問題・解答は大学入試センターのHPから見てください。
問1 語句の意味に関する問いが3つ。第1回プレテストでは、従来のセンターとは逆で、第2問(論理的/実用的文章)の問1で語句の意味、第3問(文学的文章)の問1で漢字の問いが出題されたが、この第2回プレでは従来の形に戻っていた。難度はさほど高くないものが3つ並んでいる。
問2 複数テキストを関連させて答える問い、のつもりだろう(詩の中に線を引き、「エッセイの内容も踏まえて」と聞いているから)。が、詩だけを眺めて答えることが実は可能なものとなってしまっている(もちろん、エッセイを踏まえた上で答えても解けるが)。私も複数テキストを用いた問いを作ってきたから、作問の難しさは重々承知だが、共通テストでこれでは宜しくない。本当に精度の高いものが出てくるのだろうか。ともあれ、解く側としては、両テキストを参照して解く問いがあること、そういう設定の問いでも思考力を測るに至っていない(あるいは、一方のテキストを見るだけで解ける)精度の低い問題に堕している可能性がある、そう意識しておくしかない。
問3 部分問。傍線部中にある「つくる」という語が第5段落にも用いられているので、視点を飛ばしていけばよい。
問4 部分問。九州大学が時々出題する、具体と抽象とを行き来する問題。「個人の見、嗅いだ」「ひとつの生きた花」という具体的(かつ比喩的)な表現を抽象化して答える問い。
問5 部分問。第7段落の内容を押さえる。「死なないものはいのちではない」という表現について、(問4同様に)抽象度を上げて理解する問い。
問6 従来のセンター小説の最後の小問でも毎度のごとく出題された、テキストの表現に関する問い。
(1)aは「倒置法」か「反復法」だろう。bについて、正解の「反語」だが、漢文の句法で登場する「反語」の意味で考えると選びにくくなる。今回は、「裏に反対の意味を含ませる言い方」といった意味で「反語」と言っている(例えば、遅刻してきた人に対して「お早いお着きで」という皮肉は反語である)。第一連では、紙に残された文字の永続性を「いぶかる」としているが、詩全体としては人間が紙に文字を(愛を?)残すことを讃えている(「乾杯」しているし)。プレテストの際の正答率は22%とかなり低かった。
なお、選択肢に難しい用語(「帰納」「演繹」など)が並んでいるが、これはセンター試験の表現問題の段階から見られたものだ。頻出する現代文の用語に関しては予め理解しておく必要があるということになる。
(2)①は、第4段落の最初からの流れを踏まえて考えればよい。この段落では「枯れない」ことを肯定的に捉えている(→問3もヒントになる)。④が紛らわしい。「 」の特殊用法だと取れば、あながち間違いとまでは言えないのではないか(ただ、「 」が付いているのが「永遠」ではない時点で✕だ、と言われればそれまでだが)。この問いの正答率も34%にとどまったという。
総じて、小問のラインナップを見た時に、複数のテキストを用意して出題する意味がそもそもあったのかという疑念が残る。本番では良い問題を提供してほしい。最近の文科省や大学入試センターの発表を見て、本当に公正な入試が実施されるのかますます疑心暗鬼になっている。若い人たちの人生がかかっているのだ。お願いします。