夏休みの日記①(2019年8月2日、文部科学省に聞く)
今回の入試改革、本番までの時間が減っていく中、依然不透明な点が多く残っている。少しでも情報を仕入れて生徒に伝えたいと、8月2日、新宿で実施された教員向けの研修会「夏の教育セミナー」に参加した。この記事では、文部科学省の方が講演で話された内容をかいつまんで記す。
大学入試改革について(文部科学省高等教育局 大学振興課大学入試室 室長 錦泰司氏)
①高大接続改革について
・総合型選抜(これまでのAO入試)は出願期間を9月以降に変更する 。一般入試でも主体性を見るので、調査書の充実を図る。2日間で50万人に英語4技能試験は無理なので、英語の外部検定試験を実施するという趣旨説明。
②大学入学共通テストの現在(含 平成30年度プレテストの報告)
●国語…プレテスト記述問。問1から順に、正答率7割→5割→2割とほぼ想定通り。また、自己採点で不一致が3割程度。「これをしっかりしないと、志願校決定に影響を与えるので、しっかり対応していきたい」とのお話があった(付記 8月23日に、大学入試センターのHPで、国語の記述式採点に関する段階評価について発表がなされている)。なお、採点基準の確定は試験実施後(案はあらかじめ作成するが)とのこと。(★下の「質疑応答」を参照)
●数学…プレテスト記述問の正答率低し。有識者によると「記述式は難問ではない、他との兼ね合い、時間とかの問題」とのこと。なお、6月7日に発表された令和3年度の「問題作成方針」によると、数学はマーク式問題と混在させた形で「数式等を記述する問題を作成する」となった。
●英語…これまでアクセント・発音記号・語句の並び替えで書く・話すに配慮してきたが、これらは民間に委ね、大学入試センターが実施する英語はリーディング・リスニング=1:1とする。ただし、利用方法(割合)は各大学が判断する。
●その他…各大学における大学入学共通テストの利用について「できるだけ多くの教科・科目を指定することが望ましい」という「なお書き」を付けた。
③民間英語検定の現在
●高3に限定←これは高校からの要望だとの説明。
●最大2回まで…複数回化、経済的・地域的格差を考えて2回とした。なお、大学はこのシステムを使わないという判断もできる、という説明(ほとんどの国公立大学が何らかの方法で利用すると表明しています)。
●TOEICの取り下げ(2019年7月2日)について、そもそもTOEICは2つの試験に分かれていて、2つを統合するシステムの構築が難しいとのこと。1.8%の高校生はTOEICを使いたいと言っていたので、申し訳ない、と謝罪された。
●民間英語検定に関するニーズ調査によると、予想受験者数は120万人で、6月と10月の受験希望が多い。
④各大学の個別入試改革
調査書の見直し(電子化を検討中)についての説明があった。
⑤入試の公平性の確保(医学部の不正入試を受けて)
省略します。
★質疑応答の時間に、1000人はいるかという中、勇気を出して手を挙げて質問してみた。「大学入学共通テスト実施後に記述問の採点基準を確定すると先程説明されたが、いつ決まるのか。自己採点から出願までのスケジュールに支障は出ないのか」と尋ねたところ、「これから大学入試センターと相談する」とのお答えだった。(正直な感想を述べると、これから?とびっくりした。)とまれ、入試改革の「現在地」を知る一日となった。