大学入学共通テスト(第1回プレ)記述問について

新聞部の入試特集(2018年2月発行分より)

★第2回プレについての記事はこちら。なお、問題は、大学入試センターのHPで見ることができます。

 夏の補習授業で、若い人たち(高校1年)に上記のプレテストを解いてもらい、自己採点に挑戦してもらった。以下に、私の解答例とともに、問題に関して感じたことを記す。

問1 同好会として三年以上活動した上で、四月第二週までに所定の様式で生徒会活動委員会に申請すること。

問2 体育部同士、文化部同士の兼部を認めてほしい(という要望です。)

問3 確かに、部活動の終了時間の延長を求める声は多く、市内には延長を認めている高校も複数あるので、提案することは賛成だ。しかし、延長を認めると、下校が交通量のピークの午後六時前後と重なるので、安全確保の観点から延長が認められない恐れがある。

(問1について)問いの言葉に疑問がある。「申請時の条件と手続き」という箇所だが、「申請時の、条件と手続き」なのか、「申請時の条件と、手続き」なのか?後者で取るならば、「生徒総会で過半数の賛成」という要素まで必要となるのではないか?(実際にそう答えた生徒は複数いた)

(問2について)「~兼部を可能にする(という要望。)」という答えはOKなのか(つまり「という要望」につながっているとみなせるのか)?自己採点をしなさいといっても、判断に迷うところだろう。授業で生徒たちに意見を求めたところ、マルとバツとで分かれた。

(問3について)平成29年のプレテスト実施時には、正答率が1%を割ったそうだ(もちろん、それでは国語の力を測れる問題とはいえない)。この低い正答率になったのは、「立場」や「判断」といった、熟考・評価的要素まで明示することが必要だと受験生がそもそも思っていないことが要因ではなかったかと捉えている。……日本は「察しの文化」だと言われたりするが、国語の試験においては「ここまで書いたから後は察してね」は通用しない。明示すべきはしっかり明示するという態度が必要だ。(「熟考・評価」とはなあに?という方は別記事「非連続資料を用いた評価問題」を参照)。

ただし、平成30年に行われた第2回プレでは、この熟考・評価的な要素までは求められない問題となっていた。易化を目指したのか、自己採点の可能性を高めるためか分からないが、記述式導入の意図(=思考力・判断力・表現力を養う)を鑑みた時、この大問に熟考・評価的要素がないのも何如なものかと考える。(もちろん、個人的には、選択肢問だって思考力・判断力・表現力を問う問題は可能だと考えているが)。しかるべき立場にある方には、本番は絶対に良質のものを提供していただくよう、謹んでお願いしたい。もう、時間がないのだ。

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