非連続資料を用いた評価問題

以下は、2017年に勤務校の「校誌」に寄せた、国語のテスト問題(所謂「非連続資料」を用いた問題)に関する研究についての文章である。

 本題に入る前に、声高に叫ばれている「アクティブ・ラーニング」について述べます。この言葉がはやり始めた当初、アクティブ・ラーニングを行うための方法「例」が示されることが多々ありました。すなわち、「グループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等」です。しかし、最近では、「主体的・対話的で深い学び」という言い方を国は用いるようになり、「例」はあまり前面に出てこなくなりました。

 今回の改革にも携わっている荒瀬克己氏(京都堀川高校元校長)によると、国の議論でも「そもそもラーニングはアクティブだ」という意見が出たそうです。数学の対偶で考えると、アクティブでなければ、ラーニングではない、ということになります。教師は、生徒を活発に動かす授業を心がけねばならない。生徒は、頭を活発に動かしながら授業に臨まなければならない。先に紹介した「例」は、より良い授業のための一つの方策に過ぎない、ということです。……自分はアクティブな授業を展開できているのか、常に自問しながら日々の授業に臨まねば、と思います。

 さて、やっと本題です。私がいただいた研究テーマは、「非連続資料を用いた公開授業と、それに伴う評価問題研究」です。「非連続資料」とは、図やグラフ・表などのことです。それらを元に、①情報を取り出したり、②情報を解釈したり、さらには、③情報の内容について熟考し評価したりする問題について、授業での扱い方やテストでの出題のあり方を研究しなさい、という課題を私は与えられたのです。実際、大学入試でも、図や表を用いた問題が(2020年を待たずに)散見されるようになってきました。つまり、入試の変化にも対応していく必要から、今回の公開授業となったのです。

 実は、毎年夏休み前に配られる「小論文ノート」には、非連続資料を含む問題を本格的に取り入れている、長崎大学多文化社会学部の入試を掲載しています。ただ、その問題は資料も多く、解答の総字数も2、000字に迫るため、今年担当している高校1年生で扱うには難しいと考え、今回は、中村学園大学栄養科学部の問題を扱いました。

 授業では、先に述べた①「情報を取り出」す問題、②「情報を解釈」する問題、③「情報の内容について熟考し評価」する問題をすべて提示するため、資料を私に付け加えるとともに、新たな小問も設定しました。生徒は真剣に考え、問題のパターンに習熟しようと意欲的に取り組んでいたと思います。(※蛇足ですが、今述べた問題の3パターン(①~③)を知っておくことは、解答する上でも役に立つと思うので、よかったら覚えておいてください。)

 授業で行ったことはテストで評価する必要があります。その後行われた定期テストに、小問2題ではありますが、非連続資料を用いて答える問いを出しました。情報を取り出す問題は正答率が高かったのですが、情報について熟考して評価する問題は出来がよくありませんでした。この「熟考・評価」型の問題では、明示されてはいないけれども、与えられた資料を総合的に考えたときに導き出されることを明確化する力(時には、それを記述する力)が求められるので、必然的に難易度は高くなります。

 どんどん進んでいく入試改革。それに乗り遅れないように常にアンテナを張って、それを随時生徒のみなさんに紹介していくのが私の仕事です。今後ともよろしくお願いいたします 。

複数テキストに非連続資料を用いた問題
(本テキストは大岡信「言葉の力」)

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